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糸魚川から富山に向かう国道8号線は、山が海に迫る細い海岸線に沿ってあります。 なかでも「親不知(おやしらず)」の海岸は、10kmにわたって日本アルプスの北端が断崖となり海に落ち込んでいます。 北陸街道一の難所、天下の険として旅人の足を阻んできました。 |
このあたりは、親知らず、子知らず、犬戻り、駒返し、と凄い地名がついています。 源平の戦の頃、都を追われた平頼盛(清盛の弟)の妻がこの地を通ったときに愛児を波にさらわれてしまい、 「親しらず 子はこの浦の波枕 越後の磯の泡と消えゆく」と詠んだことが親不知の地名の由来とされています。 |
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海岸線を荒波を縫って命がけで通行するしかなかった親不知に道路ができたのは明治16年のことです。 断崖の中腹を削って道路が通されています。 「如砥如矢(とのごとくやのごとし)」という4文字が開通記念に刻まれました。 |
親不知を通る国道8号線は断崖を削り作ったため、ほとんどが覆道やトンネルになっています。 なかなか視界がひらけないのが残念です。 地形のままに道路を作ったため、きついカーブやアップダウンがあり、また、大型車を中心に交通量も多いです。 この道をなめらかでまっすぐ(如砥如矢)と思えないのは現代人の贅沢さですかね。 |
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親不知では多くの区間にわたってグルービング舗装となっています。 グルービング舗装とは路面に50〜60mm間隔で幅10mmほどの溝を付けたものです。 路面の排水性の向上、すべり抵抗を高める等の効果があり、安全に寄与することになっています。 しかし、バイクのタイヤは細く、断面が丸いため、溝にハンドルを取られて気持ち良くありません。 |
親不知の断崖は新たに高速道路を作る場所がなかったため、海の上を高速道路が走っています。 国道にしても高速道にしても、厳しい地形条件に対峙するため、その時々の最高の土木技術を駆使して造られた物です。 プロジェクトX的な感傷がありますよね。 |
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